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祝「川原一之著 和合の郷 祖母・傾山系 土呂久の環境史」

2024年3月29日 祝「川原一之著 和合の郷 祖母・傾山系 土呂久の環境史」 はコメントを受け付けていません
[非売品]p562 第9章 環境学習   
 約1キロ下った公民館で昼食の弁当を開きました。松形祐堯宮崎県知事が土呂久初訪問時に約束し、高千穂町と宮崎県が協力して1982年に建設した集会施設です。それから40年たち、床がきしんで抜けそうになっています。環境教育の生徒・学生が来るようになって、トイレを男女別に区切り、便器を洋式に替えることが必要になっています。公民館長の佐藤元生さんが高千穂町と宮崎県に、床下をコンクリートで張って床板を新しく替える資金は土呂久が負担するので、トイレの改修は行政に補助してもらえないかと要望し、前日、その実現が可能になると伝えられたばかり。土呂久が〈環境教育の適地〉として定着してきたことの証左です。
p567 あとがき 書棚に土呂久を記録する会編『記録・土呂久』(本多企画、1994年、毎日出版文化賞特別賞受賞)を並べている方は、本書『和合の郷』とその大きさ、厚さがほぼ同じことに気づかれることでしょう。私は『記録・土呂久』を編集した中心メンバーだっただけに、本書がその姉妹版となることを常に意識していました。二つの本の違いは、『記録・土呂久』が土呂久の公害被害者とその支援者の運動史をテーマにしたのに対し、『和合の郷』は土呂久が生まれてから最盛期を経て衰退の時期にいたる集落史をテーマにしたことです。「土呂久学校の生徒」と自称するほど、私は土呂久から多くのことを学んできました。1971年に初めて土呂久を訪ねてから50年余、この間に上梓した土呂久関連の書籍は6冊。本書は、そうした私の著作の集大成、私の人生の総まとめです。「記録が大がかりになれば世界の記録になる」(武田泰淳)という目標は、いまだに手が届かないにせよ、これだけ豊富な内容をもつ祖母・傾山系の小集落の記録を書き残した背後に、古祖母の山の神の力を感じています。

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