最後の実行委員会寸評
「では、朝6時の集合ということで寝坊しないように」茶化しあいながらも迫る当日に備え散会してゆくメンバー。
頭の中では、八十日間世界一周のメロディが流れ出す。ディスクジョッキー風に昨日のふれあいの旅最終実行委員会の後半の模様を綴ってみよう。火曜日に顔を出すことが多い理事として立ち会うことができたから。主役の車椅子の和田祥吾(33)君にボランティア渡辺英之さんが世話を焼く半日パターンが成立する火曜日。一見スムーズのように見えても、風船バレーボールの風船購入に訪れた客は、困った光景に30分くらい付き合わされた模様。素敵な若者だが、ロッカーのわたぼうし会から委託の箱を開ける鍵を複数操るには千本の手足が要る。そこのところまでは新米の援助者にはお手上げ。そもそもその事で火曜日には風船販売は無しと言う通告は定着している。
そして五体不満足な上に、定位置のパソコン前に座した途端熱と鼻水は滝のように流れ落ち風邪の症状がはっきり。渡辺さんもヘルパーとして無表情の中にも緊張感が漲る。彼のほうが年長の分と臓器障害の分と虚無の襲来のトリプル要コーディネートであって、問題解決に呼ばれた責任者を客との三人で待つという舞台が序幕であった。
さて、原町福祉センター障害者駐車スペースには、レッドカーペットに降り立つスターたちの登場。どんこやリフト車からは野海靖治(42)実行委員長、菊永恵子(60)実行委員、颯爽と愛車ラブフォーからは山崎光代(50)コーディネーターが連日脳細胞と頚椎総動員で部屋割り会計を書き上げた幹事の城戸松豪氏が待つ最終実行委員会へ向かう。それに公立大生や他の実行委員、代理店からの添乗員2名が賑やかに集合する様子は、車椅子回収に回る役目があったので見聞していない。話題は孫との遊戯で打撲した理事の頓馬が、心配をよそに頭の打撲が功を奏するというジョークに沸いたようだ。
というわけで、遅れた長友、日高両委員全員揃ったところで、懇親会飲料の会計不足と帰路に影響する台風の問題が残っていた。加えて城戸幹事の来年の共同募金補助額が上がって40万円回答という朗報も。50名の定員に6名のうれしい参加増は思わぬ飲料会計に食い込んだという。赤い羽根の善意が交流に大いに貢献してはくれるが、結果今回は1000円ほどの手出しを参加者にという結論。参加費以上、10万円ほどの満足は得る内容と心地よさがあって28回目の実施なのだが。
台風のほうは、串間行きの回、同じ心配の中、結果青空のもと戻った記憶、今年のような九州北部水害の道路寸断時にもトラブル越えて帰り着いたものだ、島原フェリーの扱いはプロの業者さん預けというところでハウステンボスの夜のほうへ気持ちは高揚するのであった。みんなともだちという合言葉に眼が輝いてすごいうねりとなった第1回当時から休まなかった28年。散り散りになった志しは、どこそこで芽を出し次の散り散りを迎えるほど成長してしまった。ビックバン説でこの世の中は成立している。この旅も同じ。初めにエネルギーありきという真理に疑いの余地も、宗教的政治的粉飾はない。お金はもっと無いが。限界まで親切を通せる毎年の挑戦には異議のつけようが無い。社会的評価も幹事の報告からすれば来年の金額増と今年の参加者増の数字が教える。
よくもあんな大掛かりな大移動を続ける事ができて、初めての目的地長崎という細微な内容へも進化した旅。その魅力は参加者一人一人のこころの旅の集合体で、理想を形にできてきたからに他ならない。いってらっしゃい!みんなの理想郷へ。