愛着堂時計店、記憶の中に
コロナ禍の配置で最後列で賛美歌を確かめていると、スタッフが椅子を外し一台の車椅子が着席し、告別式はやがてクライマックスへとナザレン式に終わった。見慣れぬ祭壇、低い位置の棺、銀の十字、オルガンの伴奏。故人の意図したとおりに進んでいるのだろう。
お通夜である前夜祭で、顔は確かめ別れた。棺を閉じる儀式の間人気のないホールで展示を写真に撮らせてもらうため席を立つ。告別式次第は教会方式で天国への再生を演出するものだが、急場でボードに展示されたであろう写真の半分ほどは筋ジストロフィー当事者活動の記録であり、1枚はボランティアにも参加された一枚。右上。ソウルに出発する直前の壮行会である。介助の川越直美さんと久美さんコンビも30歳以上若い。後ろの旅行者たちを検分すると大西章広、愛甲隆二両人もチャーター機に乗り込む緊張感の中。
東諸葬祭場に見送った式場の外、ついさっき。スターレットに乗り込むくだんの女性は「今朝看板に気づいて急いで支度にもどり間に合って良かった」とオリパラ・アスリートのように車椅子を畳み、「ついこないだ、施設に見舞ったばかりなのに」とまだ驚きの中にいる様子。
家族席におりこうさんに座していた黒短パン黒シャツ少年は若いころの福島さんにどこか似ていた。骨折入院のため預からせてもらった分の(お花料)返しは県ボラ理事の平川喜章氏へ届ける。もう一つは、物真似いたずらのお相手財部豊隆氏。 福島久美さん本当にお世話になりました。ありがとう愛の記憶を。