生きる力・芸術とは、
最終日を飾る講演、シンポジウムを楽しんだ。エイブルアートがより身近に感じられるようなイベントとして良く整理されたものだった。この手のイベントは障害者芸術村どんこやが九電イリスで開村式を催した以来で、社会福祉法人アートステーションどんこやに王手が掛かったカリーノレストラン大支援パーティー規模の賑わいである。受付席を一寸受け持った藤原彩香は出入りの多さに驚いて尋ねたが、常にニュースレターは150通ほど出しているということで、根強い支援者数は宮崎における障がいしゃアートの中心的役割を担う施設の使命を再確認し合うこととなった。
そして、講演者弥勒祐徳さん人気が加勢した。同郷ということで初代まほろば福祉会理事長が賛辞を述べられたが、96歳で申し訳ないが同じところを幾度か繰り返すがと前置きしてその通に成り掛け、急遽人選の発案者が対話形式に変えそのお人柄が芸術性に裏打ちされていることが浮かび上がる。妻線の絵や、初期の蛾やホステス像の暗澹たる作風の意味など問われるうちに聴衆は、たしかにその絵を網膜に描き観ることができた。もう答えは平等に与えられたようだ。車椅子席の反応も良く、いつしか、タヌキや犬も会場に混ざり宴会の輪に居るような場面を確かに、記録のビデオは捉えたはずだ。こうゆう風に、画家のマジックに引っかかるままに、シンポジウムも盛り上がった。支援学校でアートを力にと熱血授業をされている現場に話題が移っても、猫になりたがっている猫画伯の評価にも。
いずれ、この会場でまぼろしののオークションが開かれ、高値で学生の作品が売れたりするのを夢想したくなるような日となった。縁起を担いで、締めて行ったベルトは友井絹子謹製。どんこやを去った人々の気配ががいつも満ち満ちているのもアートステーションを名乗るにふさわしいいつもの特徴である。
しかし、動くものをそのように描くために、あやうく鉄橋から滑りそうになるエピソード。そのような力を出しながらかつ、穏やかに、しかし、実は私みたいに怪しい最高齢画家がやって来て下さった、激励して下さった感激は観衆皆、自分への励ましであると感じたはずだ。