NATIONAL JAMS
宮崎市浮田(生目中の南)岡田整形外科のデーサービスを会場に、楽団が大分、ここ、綾(本日/今夜)と旅演奏にやって来た。前日の朝からそわそわと愛犬の散歩に下見した会場は、野球のキャンプ地のドームがすぐにある田園をぬう大谷川沿い。お目当てはスティールパン奏者の山村誠一さん。雷小僧型の髪型の容姿は一昔前パリャーソのツアーの時と不変で全体的にふんわか。唄無しと銘打つが佳境に達したときにベース奏者と歌った南アメリカ国家には底知れぬ抵抗のソウルを爆発させ、ほとんどが車椅子か療法士衣のデーサービスの老若男女を圧倒した。
珍しい楽器の数々は、ドラム缶を改造したスティールパンをはじめとして、カリンバ、太鼓類、「この世で一番受けたい授業」のようなレクチャーつきのMCで厳寒なれどポカポカの田園から一瞬にしてアフリカ、つまり人類の故郷へ雛人形の並びを合わせると百人の観客を連れ去り、無事デーサービスの日常へと連れ戻す魔術のような時間だった。一ファンではあるが、このアフリカン楽団としてのメッツセージは考えさせられた。自然とともにあった人類が、横のネットワークから逸脱したような進化をとげ、とげ過ぎた感のある今にこそ真理に聴こえた。もういいかげん戻ろうあの日に。人類が安心で安全でいられるあの日に。「黒い髪」というキーワードも出た。天国を望む霊歌の数々は、奴隷制度への抵抗、そして開放への道を示しているがその「哀しさ」そのものが美しいことも楽曲として表現される。つまりは人の尊厳は至高である、それを神は支えてくれている。そんな壮大な物語を続けて来たアフリカならではの風に吹かれた。