皿絵の愉しみ・30回・旅の焼き上がり
皿絵の愉しみ
実にゆったりに徹したふれあいの旅は、去年の湯布院で掴んだ感覚をうまく引き継いだようだ。
値段も、ゆったり感にみあう比較的高めに推移したのだが、タイムイズマネー、大切な時間を丸二日買い取った上での差額は値段以上に価値を持つ。
高級な宿舎を貸し切り感覚で使うことができたのもお金の真の力。黒川温泉での悲劇など遠い話にするためにもしっかりお金を使いたい。
まあ、反省会以前に個人的観察だけでリポートしているので、多分に上滑りであるが、今回の特長である「製作」体験のことも振り返ろう。
有田、波佐見ならではの記念を自力で挑戦というプランはエージェントからの提案、それに大賛成で、しかもぶっつけ本番ではあったが、大ヒットでもあった。
絵付け作業などとあなどってはならない、実は障がい者就労の現場を普段からこなしているので、こつこつとした集中作業は得意中の得意とする集団なのであった。
私は、松尾智美とガチンコ勝負で逆自画像に専念していたので周りを観察する余裕は無かったが、特に有田社協からのボランティア婦人の手をお借りして下手ウマなプーさんが目前で出来上がっていたり、しっかり作業は進み、余裕で次の一般観光客に作業場を受け渡す事ができた。このあたりもゆったり感にぶれはなかった。行程を詰めた実行委員会の真価と南添乗員の経験値と冴えである。
どんな焼き上がりで宮崎まで戻ってくるのかワクワク待つ身だが、高級料理の思い出を、自分の皿で回顧するもよし、机に立ててぬるかった湯の感触にうっとりするもよし、30回記念品の51枚のお皿はレアものとして残るのである。
記念と銘打った旅はこうして終わった。反省会の実行委員会では、もう感動はうすれているはず、31回のことを目指すか否かも決定しなければならない。辻会長が表彰される名誉ある旅であると鼓舞されたはしたが、家賃支払いが重くのしかかる協会台所である。旅のみの延命を考えれば事業NPO化などの作戦も取らざるをえないのが近未来像であろう。これまでの蓄積からすれば、十分パック旅行となりうる商品としてのクオリティまで出来上がったとも言える。かっては県の委託事業として平行してふれあいの翼も飛ばしたが、財源次第なのでもう舞い戻らない。
明かりが見えたのは、チープトリップ向きではなく、高級クルーズや七つ星に匹敵する優雅な旅の「ゆったり」感が適度な料金(互いの)と障がい当事者とボランティアの知恵と勇気(互いの)、お金・当事者・ボランティアの三位一体が確立して30回を成功させたということだとここに記す。